高校生
VOLUNTEER AWARD
2025 高校生ボランティア・アワード
大会サマリー

  • 8.23 [SAT]
  • 8.24 [SUN]

はじめに

  • 毎年高校生のみなさんの素晴らしい活動を拝見し、その思いを聞かせていただくたびに、僕が高校生だった時代とは「ボランティア」への志が大きく高く変化したのだ、と驚き、感嘆することが多くなりました。
    僕自身『誰かの為に自分に出来ることを行う』ことは、いつでも出来る範囲でやって来たつもりでいますが「それを粛々と継続する」ことはとても難しいことだと改めて思います。
    高校生ボランティア・アワードに参加してくださる学校を見ていますと、大切な志を「継続する」ことの大切さを学校単位できちんと受け継いで下さっていることがとてもよく解ります。これはとても尊いことです。始めは「たった一人の思い」であったものが、賛同者を得て小さな「活動」に繋がって行き、いつしか襷を繋ぐようにそれが大きな「運動」に拡がって行く姿を見ていますと、人間の心は本当はもっと美しく強いものなのではないか、と期待し、未来に希望を抱くことが出来ます。
    私たちが目指す『高校生ボランティア・アワード』はみなさんの活動報告会でもなければ、自慢大会でもなく、若い志が紡ぎ出してくれる未来への希望を信じ、それをお互いに確信する為の大会なのです。
    あなたの本当の活動は、毎年ここから始まると思っています。折角見つけたあなたの青春の志がどうか大きく永く拡がって行くことを祈りながら、今年もお会い出来ることを誇りに思います。 みなさんありがとう。

  • 公益財団法人 風に立つライオン基金
    設立者・理事長 さだまさし

DAY 1

開会式 & 発表大会 & 交流会

8.23 [SAT]

10:00 受付〜表彰状授与〜記念写真撮影
12:40 開会式
13:00 ブース発表大会
16:10 交流会

 

記念すべき10回大会「高校生ボランティア・アワード2025」が、2025年8月23日・24日の2日間、新宿住友ビル三角広場で開催されました。過去最多198団体のエントリーから活動をまとめたポスターを審査し、89団体のブース発表団体を選出しました。さらに、記念大会特別枠として、デジタル・サイネージによる発表35団体が選ばれ、全124団体が全国から集結しました。

 

今回のもう一つのトピックは、昨年の能登半島地震と奥能登豪雨を考慮し、現地の現状や復興への思いを伝えてもらったり、大災害は決して他人事ではないということを実感してもらうために、輪島市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町から計6団体を特別枠として招待したことです。
受付が終わった生徒たちは、ブースやサイネージのところに荷物を置いてから記念撮影に向かいます。表彰状を受け取り、ステージに登って記念撮影。例年よりも3割以上も多くの撮影でしたが、今までで最もスムーズに進んだので、開会式はオンタイムでスタートしました。
司会はお馴染となった川島葵アナウンサーと、2年ぶりにご参加いただいた寺島尚正アナウンサー。ベテランのお二人も、会場を埋め尽くした高校生たちの熱気に圧倒されているようでした。

              

大会委員長のさだまさしは、「今年も素晴らしい活動をしている皆さんに集まっていただきました。自分たちの活動を、おそらく孤独に、一途にやってきた人が多いと思います。ボランティアをやろうという思い、それは、すごく尊いことだと、僕は思うんです。いい交流の場になることを期待しています。ぜひ、声をかけて、友達になって、この輪を広げていって欲しいと思います。今年も二日間、気持ちを入れて頑張っていきましょう!」とエールを送りました。
後援、特別協賛、協賛、特別応援として大会をご支援くださっている企業や団体の皆様をご紹介したあと、応援団のご紹介。
第1回大会から欠かさず来てくださっているテツandトモのお二人、昨年だけ不参加でしたが、やはり1回目から参加されている新羅慎二さんが登壇されて、温かいエールを送ってくださいました。
開会式の最後は、ミュージカルクラブAmμの樋室瑠々(るる)さん(ぐんま国際アカデミー高等部)、森下瑠海(るか)さん(群馬県立渋川女子高等学校)、永井蒼莉(あおり)さん(群馬県立中央中等教育学校)による、まるでミュージカルの1シーンのような素晴らしい開会宣言でした。

              

ブース発表大会は、昨年に引き続き、クラウドファンディングでご寄付くださった方や、事前登録いただいた一般のご来場者を受け入れる形で開催しました。学校の先生や生徒たちから、「できるだけ多くの方々に自分たちの活動を知って欲しい」という要望が多く寄せられたことと、主催者として、やはり外に開かれた大会として、多くの大人たちに高校生の活動を知っていただき応援してくださる方々を増やしていきたいという両方の思いが合致した形です。

皆、ブースの前を通る人々に積極的に声を掛けたり、遠くまで遠征してブースに引き込んだり、アクティブに発表をしていました。
さらに今年は、10回目の記念大会ということで、できるだけ多くの高校生を呼びたいという思いから、スペースの都合上ブースの数は増やせないものの、デジタルサイネージを使って35団体に発表する機会を作ることができました。狭いスペースでしたが、生徒たちは一所懸命活動発表を頑張っていました。

特別協賛のDNP大日本印刷さんは、ブース内に撮影コーナーを設け、「決意表明写真」と題した高校生参加企画を実施。出力されたプリントの右側の余白に、思い思いの決意を書き込み、専用パネルに貼ってシェアするというもの。今回のサイネージ発表にもご協力いただいた協賛のKEYNARUさんは、「あらゆる可能性を、君へ。」をタグラインに掲げ、ブース内で、原則無償でのデジタルサイネージの機体・コンテンツの配信サービスをご提案いただきました。
特別応援の国境なき医師団さんのブースでは、同団体が取り組む「エンドレスジャーニー展」でも展示されている、谷川俊太郎さんが同団体に贈った詩を掲示。世界の人道危機を伝え、団体の活動をご紹介いただきました。また、さだまさしがパーソナリティを務めるレギュラー番組「グレープのもう魔酔わない」(東海ラジオ放送)が、昨年に引き続き各ブースを回って高校生たちにインタビューして、多くの声を集めました。

ブース発表は16時に終了。その後、ステージ前のベンチに集合して交流会となりました。オープニングは、能登半島地震の被災地である輪島市町野町で、支援パフォーマンスをしたMIHO美学院太鼓部による演奏。力強いその響きに、現地の方が口々に「勇気づけられた」と語っていたそうですが、本当にパワーをもらえる素晴らしい演奏でした。

続いて、翌日仕事で来られない代わりに、集まった皆さんにエールを送りたいと、テツandトモのお二人から応援パフォーマンスのプレゼント。ステージに高校生をたくさん呼び込んで、楽しい一時を作ってくださいました。

その後の交流会では、名刺交換をしたり、自己紹介をしあったり、あちこちで高校生たちの交流の輪が広がりました。

最後に、特別招待枠で参加してもらった石川県立能登高等学校書道部によるパフォーマンス。
事前に「風に立つライオン」の歌詞の一部を大書してもらった作品をステージ下手に飾り付けましたが、ここでは生のパフォーマンスを披露してもらいました。ボランティア精神を謳う「自利利他」に、この大会の大テーマである「君の志を応援します」という文字を添えてもらって、皆で思いを共有することができたと思います。

DAY 2

シンポジウム & 発表大会 & 閉会式

8.24 [SUN]

10:00 シンポジウム
12:30 ブース発表大会
15:10 表彰式・閉会式
16:30 応援団パフォーマンス

 

二日目の午前中は、参加高校生たちがメインステージ前の席に全員集合。オブザーバーの鎌田 實先生に加え、5人のパネリストをお迎えし、シンポジウムを開催しました。高校生には事前にアンケートが配られ、そこで寄せられた質問に答える形で、パネリストの皆さんと高校生たちの対話が進行。日々の活動に生かせるアドバイスやヒント、貴重な体験談を通じて、様々な気づきを共有した有意義な時間となりました。

              

今年のパネリストは、公益社団法人ピースボート災害支援センター(PBV)現地コーディネーター 大塩さやか(おおしお・さやか)さん、認定NPO法人ピーク・エイド代表でアルピニストの野口 健(のぐち・けん)さん、俳優 奥菜 恵(おきな・めぐみ)さん、国境なき医師団(MSF) 活動責任者・アドボカシーディレクター末藤千翔(すえふじ・ちか)さん、アーティストの泉谷しげる(いずみや・しげる)さんの5人をお迎えしました。

「現地の人と信頼関係を築くには、まず挨拶かなと思うんです。笑顔で挨拶できることが、すごく大事だなと思っています。初めて会う時はもちろん、毎日、顔を合わせる時に「おはよう」「こんにちは」「いいお天気ですね」そういう本当に些細な、小さな会話から、お互いのコミュ二ケーションが生まれてくるのではないかと思っています。被災者対支援者ではなく、人と人として関わってもらえたらいいのかなと思います。相手を思いやる話し方だったり、笑顔だったり、そういう気持ちがあれば、関係性はうまくできてくるのではないかと思います。それらの点を意識しながら、積極的に声をかけていくことが大事だと思って、活動しています」(大塩さやかさん)

 

「2001年に富士山の清掃活動を始めたんでが、自分一人じゃ無理なので全国を回って「みんなで一緒にきれいにしよう」と訴えたんですよ。あちこちで訴えていると、喋っているほうは、伝えたんだから、伝わっていると思うんですけど、清掃キャンペーンで蓋を開けたらね、参加者が全然集まらない。「伝える=伝わる」ではないんですね。ゴミ問題、環境問題も全部そうだけど、自分が正しいと思って活動すると、伝える時に上から目線になる時がある。すると人は引いていく。僕は最初の頃、表現がちょっと強かった。共感してくれる人がいる一方で、去っていく人もいる。どういうふうに伝えれば、反対の立場にいた人も最終的に仲間になってくれるのかということを、どこかで意識しながら、やわらか~く、楽しく喋って」(野口健さん)

 

「私は近所に駄菓子屋さんがあるような場所で育ってきて、そこに行けば友達もいるし、駄菓子屋さんのおばちゃんともお話ができる。私の心の拠り所になっていて、今でも年に1回や2回は、その駄菓子屋さんのおばちゃんに会いに行くことがあるんです。そうすると、本当に喜んでくれて、すごく嬉しそうな笑顔で迎え入れてくれる。私自身が幼少期に、その場所から、そのおばちゃんから、あったかい気持ちをいただいたように、自分の活動を通じて、そんなぬくもりの輪を少しずつ広げていけたらいいなあって。そのためには、来てくれる人と一緒に楽しみたい。楽しんでくれて、また来たいな、あったかい気持ちになったなって感じてもらえるような会を、一過性のものではなくて、継続的に続けて行くということが、今、私にとっては、最大の課題かなと思っています」(奥菜恵さん)

 

「戦争をしている国でも、すべての場所で戦闘行為が行われているわけではないんです。私がいたのは、北東部のクルド自治区がある地域でしたが、直接的な戦闘行為は少なく、大きなお庭があり、きれいに整備する人たちが、たくさんいるような地域でした。自分たちの生活環境を整えて、明るい未来に向かっていけるように、努力をされていることに強い感銘を受けました。一方で、健康で若い男性が怯えたような生活を送らざるを得ない状況がありました。若い男性には徴兵令が出て戦闘に行かなければならない立場にあり、一方で、家族の生活を経済的に支える責任を負っています。徴兵令を逃れ、隠れて生活をしている若い男性がたくさんいました。一番大事だと思ったのは、自分で関心を持ったこと、もっと知りたいと思ったことに関してはアクションを起こし、たとえば、シリアから逃れてきている人に会ったり、シリアに近い隣国に赴くなどして、実際に自分の目で見て耳で聞いて、自分なりに正しいと思う情報を集めること。そこから、自分の考えを持つということです」(末藤千翔さん)

 

「善意というものは、強要してはいけない。自慢もしてはいけないんですよ。だから、たとえば、被災地で活動したから、私の経歴のなかに、こういうことをやりましたとか…さっき(登壇時に自身に関して紹介され)、経歴を自慢げに言うなって怒ったんだけど、被災地には、大変な不幸があるわけじゃない。自分がちょっと手伝ったくらいでさ、経歴の一つのバックボーンにしてはいけないんですよ。善意というのは、目立たないようにやる。俺の場合は目立っちゃっただけの話で。だから、なんて言ったらいいんだろう…一人で勝手にやってるんで、認めてもらおうと思ってやってるのと、ちょっと違うんだよな」(泉谷しげるさん)

最後に鎌田先生の総評。
「皆さん自分の思いが悶々としているというのがよく分かりました。悶々としているということは、すごく大事なこと。ここの塊は、悶々としている人たちの塊で、そこから何か新しい日本が生まれてくるんじゃないかな。今日は、たくさんの生の声を聞かせてもらって、いい形のシンポジウムができたかなと思いました」

 

シンポジウムを終え、午後からは二日目の発表大会。一般公開は初日のみとし、2日目は高校生同士がより交流できるように配慮しました。緊張感がほぐれ、はつらつとした高校生たちの笑顔が会場に溢れました。
「他の活動をしている学校の展示は見たことがなかったので、新しい取り組みや、展示の仕方などを見ることができて楽しかった」という高校生の声からも、活発な情報交換の様子が伝わってきます。応援団を務めていただいた、ももいろクローバーZの高城れにさんや新羅慎二さん、泉谷しげるさんらに加え、大会委員長のさだまさしも、会場を廻り、高校生たちの発表に耳を傾けました。

最後の締めくくりは特別賞の表彰式と閉会式です。過去最多22の特別賞が用意されました。。

 

 

最後の最後に、ゲスト応援団がパフォーマンスのプレゼント。高校生たちに精一杯のエールを送ってくださいました。熱い夏の二日間が幕を閉じました。

「もっともっとたくさんの高校生が交流できるような場所をつくっていかなければいけない、ということを大会委員長として感じました。学校生活だけでも大変なのに、誰かのために頑張ろうという、その心は、とても尊いと思います。その心を忘れないで、そのまんま、じじいとばばあになっていってください。そうしたらきっと、この国は、もっとあたたかい、いい国になると思います。1年生、2年生の生徒さんたち、また来年会いましょう! 3年生の人たちは、後輩を連れて、またここへ帰ってきてください。素晴らしい大会になりました。皆さん、本当にありがとう!」(さだまさし)

過去のボランティア・アワード VOLUNTEER AWARD 2016-2025