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2025年12月12日（金）、東京・明治記念館にて、「風に立つライオン オブ・ザ・イヤー2025」の贈賞式を開催しました。

本賞は、国内外でいのちや平和を守るために献身的な活動を続け、社会に希望をもたらしている個人・団体を顕彰するもので、2023年に創設され、本年で3回目の開催となります。また本年度は、当時、一般財団法人として設立された風に立つライオン基金が10周年を迎える節目の年となりました。

節目の年に開催された第3回目の贈賞式は、明治記念館という格式ある会場を舞台に行われました。これまで積み重ねてきた顕彰の歩みと、これから先へと続く意思を、あらためて内外に示す場となりました。

本年度は、有識者による選考委員会を経て、海外で活動する個人・団体を対象とする柴田紘一郎賞と、日本国内で活動する個人・団体を対象とする鎌田實賞の2部門で、１団体・1名が選出されました。第3回となる今年は、海外と国内という異なるフィールドで、ともに「子ども」と「未来」に向き合い続けてきた実践者が選ばれました。

同日、このサイトで発表したとおり、柴田紘一郎賞はNPO法人Piece of Syria 、鎌田實賞は岐阜県総合医療センター 新生児内科医師・寺澤大祐氏が受賞しました。

https://lion.or.jp/news/news/oftheyear2025.html

柴田紘一郎賞は、シリアの子どもたちへの教育支援を続ける NPO法人 Piece of Syriaに、そして鎌田實賞は、新生児医療の現場から医療・福祉・教育を横断した取り組みを実践してきた 岐阜県総合医療センター 新生児内科医師・寺澤大祐氏に贈られました。

■柴田紘一郎賞

NPO法人 Piece of Syria 代表理事の中野氏は、受賞の挨拶で、活動の原点となったシリアでの出会いを振り返りながら、次のように語りました。

「この賞は、僕一人がいただいたものではなく、現地で一緒に活動してきた仲間たちが受け取ったものだと思っています。シリアは“危険な国” “難民の国”というイメージで語られがちですが、僕にとっては人が本当に優しく、美しい国でした。ある女の子が『お金は天国に持っていけないから、どう使うかが大事。私は子どもたちの夢を応援する学校を作りたい』と話してくれました。僕はその女の子の夢の続きを叶えるために活動を続けています。

いつか平和になったシリアに、皆さんを連れて行ける日を信じて、これからも歩み続けたいと思います。」
（NPO法人 Piece of Syria 代表理事・中野貴行氏）

■鎌田實賞

寺澤氏は、新生児医療の現場で数多くの命と向き合ってきた経験を踏まえ、強い使命感をにじませながら語りました。

「僕のモットーは『救ったいのちを、救いっぱなしにしない社会をつくること』です。赤ちゃんを救う医療は、救命した瞬間で終わりではありません。その後の人生、家族の不安、社会の仕組みまで含めて支えていかなければ、本当の意味で命を救ったことにはならないと感じてきました。この賞を励みに、次に亡くなる命を一つでも減らせるよう、これからも行動を続けていきたいと思います。」
（岐阜県総合医療センター 新生児内科医師・寺澤大祐氏）

人の背中を押す賞であり続けるために

贈賞式では、理事長・さだまさしが、財団設立から10年の歩みを振り返りながら、「私たちは大きなことはできなくても、手渡しで支える支援を大切にしてきました。この賞が、誰かの次の一歩を踏み出す力になればうれしい」と語りました。

また、評議員の鎌田實先生は、「子どもを大切にしない社会に未来はありません。シリアの子どもたちと、日本の赤ちゃんたち。今年の受賞者が“子ども”に向き合ってきたことは、とても象徴的です」と述べ、受賞者への期待を込めました。

「風に立つライオン オブ・ザ・イヤー」は、活動を称えるだけでなく、その歩みを社会に伝え、次の支援や共感につなげていくための賞です。3回目を迎えた2025年、そして基金10周年という節目にあたり、風に立ち、困難な現実に向き合いながらも、人の尊厳と未来を信じて行動を続ける“ライオン”たちの姿を、これからも伝えていきたいと考えています。