ライオンオブ・ザ・イヤー

風に立つライオン オブ・ザ・イヤー2023

贈賞式

開催日:2023年11月14日(火)
会 場:日本プレスセンター(東京・内幸町)

柴田紘一郎賞

【受賞者】
一般社団法人モザンビークのいのちをつなぐ会 代表理事 榎本恵(えのもとめぐみ)氏
http://www.tsunagukai.com/

【プロフィール】
2000年よりベンチャー企業の起業、新規事業開拓事業を行なっており、2012年に日系企業の依頼によりモザンビーク入り。半年間、新規事業開拓業務を行なう。そこで先進国の論理と途上国の住民のニーズの乖離を目の当たりにし、2013年モザンビークのいのちをつなぐ会を設立。支援の光の当たらないモザンビーク北部最大のスラム地区に事務所を構え、スラム地区に住み、住民との信頼関係を基盤とした社会支援活動を開始。
2014年にはスラムの学び舎・寺子屋を建設。教育活動や公衆衛生活動を行い、トイレや井戸、水道インフラの整備や、モリンガを用いた食べられる緑化を実施。2017年に発生したイスラム過激派のテロが2019年から激化し、2021年にテロ紛争避難施設・平和の家を建築。深刻化する食糧難の中、配食活動も継続的に実施している。

【選考理由】
世界最貧国の一つであるモザンビークで住民と共にスラム地区に居住し、単に食料などの支援ということではなく、現地の人が自立するための公衆衛生、教育活動を長年に渡って行っていること。また、テロによる治安悪化の中で、避難施設の建築をし食料支援を継続的に行っていることを評価。

【榎本氏コメント】
これまで数々の開発途上国を回ってきましたが、いずれの国も先進国から莫大な投資を受けているにもかかわらず、現地の人たちの暮らしは変わらないという現実があります。せめて自分たちで契約書を読んだり、サインくらい書けるようになりましょう、というのがこの活動を始めたきっかけです。私たちが目指しているのは、私たちのような団体やNGOが要らなくなる世界。現地の人が自分たちの手で国を改善していけるようになるのが理想です。そのためにも、子どもたちの教育に力を注ぎ、起業する人を一人でも多く生み出していきたいと思います。

正賞と副賞

■正賞:グランドセイコー STGF279
 裏面刻印:LION of The Year 2023 柴田紘一郎賞 Ms. Megumi Enomoto

■副賞:200万円

鎌田實賞

【受賞者】
医療法人双樹会よしき往診クリニック院長 守上佳樹(もりかみよしき)氏

【プロフィール】
京都大学医学部附属病院研修後、同大学老年内科医局、総合病院勤務を経て2017年に京都市西京区にて「よしき往診クリニック」を開業。
診療の基本方針に「医療機関と患者、地域を結び付け、よりよい社会を作ることへの挑戦を目標とする」を掲げ、院内のみならず地域の歯科医師、薬剤師、看護師、栄養士等との多職種連携や病院・診療所など多機関との密な連携を実施し、京都府内では最大級数の重症個人居宅往診患者への対応を実践している。
2021年2月にコロナ往診専門診療チーム「KISA2隊」旗揚げし、KISA2隊OYAKATAとしても活躍中。2023年までの2年間で北海道から鹿児島まで全国20都道府県23ヶ所に広がる。

【選考理由】
医療と地域を結び、様々な職業や機関と病院との連携の中で、24時間365日の在宅医療チームを結成し、終末期医療をはじめ患者さんの心に寄り添う医療を実践している点。また、コロナ禍において往診専門治療チーム「KISA2隊」を立ち上げ、全国にその活動を広めた点を評価。

【守上氏コメント】
24時間365日体制の在宅医療自体はやる気になればできるのですが、それを地域、行政、医師会がしっかり連携して行うことは決して簡単なことではありません。実現させるためには、強烈なリーダーシップや集約化させるためのバランス感覚が必要不可欠です。今後も世代・地域といった垣根を越えて、医療や社会の課題を解決していき、いずれは「KISA2隊」が解散して無くなっても、地域医療が問題なく回っていくような環境を築いていきたいです。

正賞と副賞

■正賞:グランドセイコー SBGE279
 裏面刻印:LION of The Year 2023 鎌田實賞 Mr. Yoshiki Morikami

■副賞:200万円

さだまさし総評

記念すべき第一回目の受賞者に選ばれた守上先生、榎本さん、おめでとうございます。
守上先生は、当たり前のことを当たり前に行うことが難しい現代の日本で、それを乗り越え、それぞれの持ち場で協力し合いながら、京都から大阪、さらに九州や北海道に至るまで輪を広げていかれました。これぞまさに「ささやかな革命」だと感じました。
一方、異国の地でその国の人たちを守ろうとする志の尊さには、胸が痛くなるほど感心させられます。榎本さんのように自ら進んで覚悟を持って活動されている方々が世界中にたくさんいらっしゃいますので、この賞をきっかけに「自分たちも、もっともっと頑張ろう」と一人でも多くの方の励みになっていただけたら幸いです。
今後、「風に立つライオンオブ・ザ・イヤー」の受賞がさらに多くの人に歓迎され、認められ、より意味のあるものになっていくように、私たちも一所懸命頑張ってまいります。